夏越しの祓い
1年を2つに分けた昔の考え方では
六月晦日は十二月晦日に対応して前の半年の最終日にあたっています。
大晦日が新年を迎えるための大切な日であったのと同じように、
六月晦日も神に年の前半のあいだの無事を感謝し、
収穫までの後半年の無事を祈るための物忌みの日、
祓いの日と考えられたのです。
昔、宮廷では十二月晦日と六月晦日の年二回、
「大祓い」の神事が行われていました。
祓いは日本の神祭りの基本とも言える作法で、
大祓いの本来の意義は、年間を通して最も大切な正月と七月の祖霊迎えの行事を前にして
物忌みを行うことでした。
そして十二月のほうを「年越し」、六月を「名越し」と呼ぶようになったのです。
その起源は古く、701年制定の「大宝律令」に定められています。
それは、大内裏の朱雀院に天皇に仕える百官の貴族が集まって
国民が犯した罪を除き去るために大祓いの詞を詠み上げる儀式でした。
この大祓いの行事は後に民間の神社でも行われるようになり
名越しは「夏越し」とも書かれ、この日を「六月祓い」「荒和(あらにご)の祓い」
「夏越節供」「輪越祭り」などと呼ばれることもあります。
またナゴシという名称は、神様の気持ちを和らげるという意味の「和し」からきているとも
言われています。
大祓式
「夏越大祓(なごしのおおはらえ)」ともいわれる、半年の節目の日に
罪けがれを祓い残りの半年に備える儀式。
人形の(ひとがた)の祓いに併せ、茅の輪神事も行われます。
三嶋神社では、半年の節目である6月30日と1年の最後12月31日の
両日に大祓式が執り行われます。
それぞれ、夏越大祓(なごしのおおはらえ)、師走大祓(しわすのおおはらえ)と
呼ばれています。
この大祓とは、日常生活において知らず知らずのうちに犯している
罪やけがれを半年ごとに祓い清め、清らかな身に立ち還らんとする神事で
日本古来の伝統行事です。
これらの罪・けがれを託す人形(ひとがた)には、家族一人一人の
名前、生年月日を書き、身体をなで息を三度吹きかけます。
この人形(ひとがた)が家族の身代わりになり
「大祓詞(おおはらえことば)」の奏上、「裂布(れっぷ)」「時縄(ときなわ)」の
神事を通して祓い清められます。
また、夏越大祓においては人形の神事に併せて茅の輪くぐりの神事も
行われます。この神事では氏子有志の奉仕により儲けられた茅(かや)で
作られた大きな輪を、和歌を唱えながら左・右・左とくぐります。
この時唱えられる和歌は茅の輪の由来から
「水無月の夏越の祓いをする人は、千歳の命のぶというなり」
「蘇民将来(そみんしょうらい)、蘇民将来」
と唱えられます。
茅の輪をくぐって夏越祓いをした人は、寿命が千年にも延びますよという意味です。